「サンクチュアリ 真べぇvsケツ」の感想

お笑い

はじめに

「サンクチュアリ 真べぇvsケツ」とは、2023年6月23日に大阪の森ノ宮よしもと漫才劇場で行われたお笑い系のライブのタイトルである。筆者は会場には行っていないのだが、オンラインチケットを購入して動画配信サイトでこれを観たので、自分用に簡単に感想を残しておきたいと思う。

なお、このライブがどのような発端を持つものであるのかについては、面倒なので、ここでは説明しない。代わりに、これを見るとだいたい分かるぞ、という動画を貼っておく。

いちおう貼ってみたものの、そもそもライブを見ていない方が、どこかの誰か(=筆者)がテキトーに書いたこの感想文を読もうとはしない気がするので、ということは発端以外の要素も含めて全て説明はいらないのではないかと思われてきたため、さっそく感想のみを綴る。

なお、下のリンクは、そのうちすぐにリンク切れになる気がするが、いちおう貼っておく。

以下の文章で、当然そこそこのネタバレを含むことになると思うので、それが嫌な方はここでお引き取り下さい。さようなら。ごきげんよう。

感想

脊髄反射時

まず、感想を単純に、面白かったか面白くなかったかの二択で言うと、面白かった、と言える。

言えるのだが、しかし、それと同時に、巷でよく言われている、ある1つの点についてこれを自分の中でどう処理すればよいのだろうかという思いを、筆者も抱いてしまったのは事実である。

「ある1つの点」というのは、タイトルに「真べぇvsケツ」と掲げているにもかかわらず主役であるはずのその2人が最初から最後までほぼ殴り合わなかった、という例のアレである。話題のヤツだ。

もちろん「今日で売れたいんですよね」のくだりや、「唆(そそのか)してはいない」のくだりなど、細かいところを拾えば完全にド突き合いゼロではないのかもしれない。が、それでもあれだけではほぼ無かったのと同じと言っても過言ではないはずだ。

ライブ題を見る限りは殴り合うはずの二人が実際にはほぼほぼ殴り合わないこと。これは、例えば世界中のすべきではない戦争に対するメッセージなのだろうか。いや、少なくとも意図的には、そんな意味を込めているはずはないだろう。なら、なんなんだこれは。だって、真べぇvsケツだろ?

ということで、筆者はライブ終了直後、脊髄反射的にこんなツイートをしてしまった。

脊髄反射以降

とはいえ、本格的に殴り合ってほしかったにもかかわらず真べぇが殴り合わなかったのはあくまでもケツ(と誠子もか)だけであり、他の誰ともバチバチやり合わなかった訳ではない。真べぇは、最初に20分弱の時間で宮北裕太、次にもう少し長いちょうど20分ぐらいの時間をかけて爛々萌々、と力強く2人葬ってみせた後、4分ちょいという短い時間でらぶおじさんをも「瞬殺」してしまう。しかも、それに続いて、擁護派ゆえに普通に考えれば全く潰す必要のない今井らいぱちでさえ、真べぇは「下ネタほっこりエピソード」で軽く辱めてみせたのである。

この辺り(次のテコンドー近藤のターンぐらい)までは、ライブを観る前に想像していたことが起きていた時間といえるだろう。真べぇが予告通りに次々と芸人たちを潰していく時間。まあ、真っ当に面白かったと言っていい。

そして、やっと真べぇvs誠子のターンに入ったのが、動画の時間で言うと1:18:35頃(ちなみに動画はライブの頭が0:00ではない。20分ぐらい経ってからスタート)なのであった。個人的には、まずちょっとここまでが長かったような気もする。

そして、計算してみると、ここから実際にライブが終了した時間までだいたい40分ちょっとある。もしも単純に、この40分ちょいの時間真べぇvs誠子&ケツのターンに費やせば、それなりに十分な時間の想像した種類の殴り合いが見られたのかも知れない。そしてそれはとっても面白いものになったのかもしれない。

しかし、ご存じの通り、実際のライブの展開はそうではなかった。

誠子が話し出してたったの3分ちょっと経過したあたりで、特別ゲスト的な人物が2人立て続けに登場する。1人は元芸人で現作家の津村、もう一人は真べぇの相方のタグである。この2人が、ライブの内容の性格を急にガラッと変えてしまったのは間違いない

この2人の登場によって起きたことは、今考えると結局今回のプロレスの終焉宣言であったのかもしれない。誠子のターンが3分しか経過しておらず、ケツに至ってはまだ自分のターンが訪れてもいないうちに、彼らのリングには、対真べぇプロレス終了のホイッスルが鳴ってしまったように、少なくとも筆者には見えたのである。

なお、この2人の乱入者のターン中に、1分にも満たない、50数秒ほどケツがバーッと喋るシーンがある。内容は、簡単に言うと、自分に対して真べぇは感謝してほしいという訴えである。しかし、この50数秒は、真べぇvsケツの戦いのターンとは呼べないと思う。理由は後述する。

さて、2人のゲストのターンが一通り終わったあと、どう展開したか。そこでは、プロレスを終えた真べぇの、本当の気持ちが語られる。ケツに対して本当はどのような気持ちを抱いていたのかについての真相が、包み隠さず明かされるのである。プロレスはもう辞めているので、この告白は、先ほど記した「ケツの50数秒」の要望にもしっかり応えてしまっている。応えているが故に「50数秒」は真べぇvsケツの戦いのターンとは呼べない気がするのである。

話がズレるが、個人的には、このシーンでのケツの表情が変化するカットは、本当に素晴らしいと思う。ライブの中継で編集ではないのに、見事にとらえられていて誇張抜きで感動する。笑顔になる前の顔も後の顔もどちらもいい。

さて、最終的にこのライブは、あろうことか真べぇvsニューヨークという別のプロレスに突入したりもし、さらには、津村、タグに続く第3の特別ゲストまで登場し、もはや「展開的」にだけでなく「時間的」にも真べぇvsケツの流れなど決して復活する余地のないようにトドメが刺され、かくしてエンディングを迎えるのであった。

全部振り返ったのでまとめると

まとめると、筆者の感想は、

・ラスト40分はゲスト3人全部無しでメインイベント真べぇvsケツをバチバチやった方が面白かった可能性は大いにあるものの、ニューヨークの「最終的には全員笑顔で打ち上げに行きたい」という明確な意志も踏まえればおそらくこっちで良かったし、面白くなかったと言っている人も巷にはいるようだが、これはこれで筆者は個人的には面白かったと思う。そもそもケツは最初から「真べぇさんのことが誰よりも大好き」「ただ事実を言っているだけ」と一貫して言っているのだから、潰し合いをしない結末はよく考えると正しすぎる。大好きな人と殺し合いはしなくていい。

・「真べぇvsケツ」って言っているのに、それに反して真べぇとケツがほぼほぼ戦わない(別の人とばかり戦っている)展開は、変態的には最高

・どう見ても、ケツがバチバチ行けなかったのはケツのせいではないと個人的には思う。もちろん、終盤で3人の特別ゲストが30分以上奪ってしまうことを全く知らなかった真べぇのせいでもない。そもそもそういう演出のライブ(タグは勝手なタイミングで出ていったらしいが)。

・あくまでも個人的には、タグはこのライブにはいらなかったような気がする。タグの「こんな形で真べぇがフューチャーされるのは嫌だった」という心情と、このライブそのものが思いっきり対立している。じゃあ笑ったらいけないのかなという気持ちになる。

・個人的には、テコンドー近藤の、真べぇに感謝していることもあるという話もいらなかったように思う。この話とライブのタイトルがやはり対立している。擁護派と対立派を同ターンに両方やらない方がよかった気がした(前半と後半で変わるのはみんなそうだから可だが)。ナマ言ってすみません。

・乙女の誠子が「萌々が男を勘違いさせる/メロメロにさせる」という話題の時に必要以上にテンションが上がってい、真べぇの件より圧倒的に興味ありそうなのもどうなのか的な意味で主旨を若干ぼやかしてしまっているのが、やはり変態的に最高

・誠子が「1人TKO」で堪えきれず笑ってしまったのが可愛かった。

・「手持ちの鶏肉」という日本語は無い。

・無断で借りて永遠に返し忘れるのと盗むのは同じ。

・らぶおじさんは1世。

・「YABA/YASEYO」と書かれたTシャツを来ているのに太っている人がいた。

・あくまでも筆者個人の感覚では、らいぱちの風俗の話とテコンドーの真べぇに感謝していることもあるという話と津村の全部の話とタグの全部の話が結構長いと感じた。

・ケツは用意していたのに出せなかった「弾」が実はいくつかあったと思うけど、真べぇに売れてもらって、別の場でそれを使えるような未来が訪れればOKではないかと思う。

・ニューヨーク屋敷が、最後の歌の後、ケツに「ケツもう思い残すことない?」と聞いたところを見逃してはいけない。個人的にはここで泣きそうになった。理由は省略する。

・そもそも芸名「ケツ」ってなんやねん。

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