2021年1月のコウメ太夫「まいにちチクショー」から、なぜか意味も無くマイベスト5を選ぶ

お笑い

はじめに

コウメ太夫の「まいにちチクショー」という連作における芸術的方法を端的に言えば、にわかには信じがたいベタとシュールの共存であると思う。つまり、なぜ昨日こんなにベタな内容をつぶやいた者が、今日はここまで意味不明性に徹することができるのか、という点につきる。その一点に、あらゆる者は驚嘆せざるをえない。

さて、今日は唐突に、2021年1月に発表されたコウメ太夫の「まいにちチクショー」の中から、わたしのベスト5を選ぶことにしたい。なぜなのかはわたしにもわからない。

ちなみに、意味不明性の強度が高いときの方がどちらかといえば世間からの「いいね」の数が少なくなる傾向があるが、逆にわたしはそちらのタイプのチクショーの方が好みだ。客観性をいっさい排除して、そういうわたしの好みだけで選ばせていただくので、ご了承されたし。

対象ツイート

1月1日

正月から容赦の無い、素晴らしい2行目。コウメ太夫はチクショーの一語とともに霧の彼方へ消えてゆくのみで、あとはただ、残された読者のわれわれの目の前にあるのは、チクショーかどうかさえ判別不能な意味不明さだけだ。また、「!。」という記号の使い方も見逃してはならない。文脈から判断すると、結論としては「あけましておめでとうございます」では無いようである。不穏な幕開けである。

1月2日

この日はチクショウ部分の説明的な補足も含めて一見ベタと言えばベタだが、それはあくまでも「一見」の話であって、「日本腫れ」とは何であるのかを知っている者はおそらくこの世に5人といまい。

1月3日

一昨日や昨日とは打って変わって、突然分かりやすい優しみの世界。ただし、このベタの国の人が翌日どんなつぶやきをするのか、気絶させられないように気をつけて読みすすめてほしい。

1月4日

これだ。昨日からまたしても一転して、今度は全く意味が分からないのである。「その子」とはいったい何なのか。素晴らしい。

と思ったらベタ。ただの嘘。なんだこれは。

かと思いきや、またもや逆方向に振り切って、あっさりと人智を超えた発想力。いったいここでは何と何が並べられているのだろうか。それでいて力が入った感じはまるでない。呼吸するように意味不明を産み落とすのだ。さすがである。

1月5日

引き続き今日も意味が全くわからない。

と思いきや、一転して、「引っ越したら潰れるパターン」の定番のベタ。ただし個人的には「わめっぺ」はよくわからないので、ある意味で意味不明性を内包しているとは言えるわけだが、いずれにせよ、「そこは伝わらなくてもいいのだ」という確信の強さにシンプルに感動する。

1月6日

幾たびもの意味不明を乗り越えての後にこれを提出されると、わたしはとまどう。なぜ今日はこんなに意味が分かりすぎるのか。こんなにひねりも何も無くて逆にいいのだろうかというぐらいの「ただそれだけ感」。

1月7日

ここへきて、事実なのかも知れないシンプルな不幸の叫び。

続いて、フィクションに違いないシンプルな失敗譚。今日はまるで胃に対する七草がゆのように、読者に対して優しいコウメ太夫。

1月8日

はて、昨日はあんなに優しかった海が、どうして今日はこんなにも荒波なのか。

と思ったら、ベタに戻る。恐怖を覚える。であるならば、1個前のはなんだったのか。まいにちチクショーは、人間の多面性を象徴している。

1月9日

真骨頂。わからない。

と思った直後に、子供でもわかるものが提出される。なぜだ。

1月10日

昨日の2つ目から一転して、本日はこの無双ぶりだ。ボーッとしながら手を出すと怪我をするから気をつけられたし。

と思いきや、今度は実に分かりやすいフィクションのコメディ。

1月11日

易々と日本語の領域を拡張してしまうコウメ太夫。

1月12日

意味不明が続く。昨日より個人的には好みに合う。どうやら普通は「はきたい」ならば「メインディッシュ」ではないらしい。メモしておこう。

1月13日

出だしはSF的ともいえる設定。2行目は一見、全小学生の中でも相対的にみてつまらない方に属する小学生レベルの発想っぽいが、じっくり読むと、実は中から破片というのはなかなか詩的だとわたしは思う。

つまりここで、1つ前の「星を爆破」が紛れもない事実であることを婉曲的に示している。

1月14日

意味不明の向こう側へ到達している。

「なぜ普通の「  」ではなく{  }という括弧を使用するのか」という意味不明の魅力はわからぬでもないが、実はこれはコウメ太夫においては頻繁に用いられる記号である。詳しくない方はここで覚えておくといいだろう。というわけで、内容が分かりやすすぎて個人的にはあまり好みではない。ただし、これも存在してよい。ベスト5にはしないというだけだ。

1月15日

「でした~」じゃねえよ。全くわからない。本日も絶好調。

1月16日

おそらく、センター試験→センター分け(髪型)→七三分け(髪型)→7:3試験(造語)という連想法による作品。この程度なら、コウメ的世界においては、今日はベタの日といっていい。

1月17日

流行り物に乗っかるという通俗性と2行目の前衛性が、こんな短い3行の中に易々と同居していて、それでいて全然気取っていない。不思議と後味のさわやかな作品。

この日に「~かと思ったら、~でした」を崩してきたのはバランス感覚として共感しないでもないが、「意味チクショウ」の部分の評価については賛否が分かれるところかもしれない。個人的にはただの「チクショウ」の方が面白い気もするが、絶妙に面白くない方を選んでしまうのもまたいい。

1月18日

くだらないが、それと同時に世界の真理に触れてもいる。

これも低レベルのベタだが、「カヴァ~」の表記に細かい工夫が秘められていて、味わいのある作品。

1月19日

この短さなのに、外国の物語を一篇読んだ気分になるほどの内容的ボリュームがある。そもそも雪女に間違われるという出来事が起きるのが、どうして自転車を漕いでいる時なのか。大胆な構成の中に魅力的なレティサンスを構築していて単純に傑作。「雪子供」や「マミ~マミ~」などの単語のチョイスも冴えている。

1月20日

危険な内容なので、申し訳ないが説明は省略する。わたしは臆病なのだ。

ここまで読んで下さった方には言うまでもないだろうが、「唐突!」などと書かなくても2行目の内容が唐突なことなどいくらでもあるのがまいにちチクショーのはずである。それなのになぜ今日はわざわざ「唐突!」などと断りを入れるのか。そして「四季」の意味とはそもそも何なのか。哲学的な作品。

1月21日

個人的には3行目の意味不明性より、1行目の、何もかもいっさいそぎ落とした抽象性に不思議と心惹かれる。

1月22日

いったい何を目の前にしてこの言葉を産み落としているのだろう。まったくわからない。

1つ前と違って、こちらは全然意味不明ではない。これも連想法によって書かれた作品だ。ちなみに「La.おかき」は現「ずん」の飯尾和樹が以前組んでいたお笑いコンビで、現在は解散している。La.おかき→お菓子のおかき→おせんべい→食べる音パリパリ→フランスのパリ→エッフェル塔と連想の繋がる馬鹿でも理解できる明快な作品。ただし、2行目の「ありがとう」の一語が単純に泣ける。

1月23日

悪くはないが、擬音モノにはわたしは少しだけ厳しい。これはどうだろうか。少し想像の範囲内のような気もした。ただ、1行目末の「してたから~」は新鮮な印象を覚えてちょっと好感が持てる。

ぶっ壊れたものの後にこの種の単純がくるという全体としての世界観の素晴らしさ。

1月24日

ポケモンに全く通じていないという個人的な事情により、この作品にわたしは乗れなかった。勉強不足で申し訳ない。

最後の「間違えちゃった」が必要かどうかは諸説あるが、わたしは必要だと思う。突然だが、10回クイズで問題文が「じゃあここは?」となるのはどんなときか。普通は、ピザと10回言わせて肘を指さすなど、体の一部を指しての出題のときだ。では「マンゴ~」と名前が似ている体の一部とは一体どこか。まさか。しかも、その解答は「土瓶蒸し」だというのである。名前が何かに似ている「マンゴ~」と、土瓶という名の空洞に松茸などを入れる「土瓶蒸し」を結びつける、これは・・・ただの下ネタなのだろうか。一方で浮上する最大の謎が10回クイズの答えがなぜか3回繰り返されているということだ。一般的な10回クイズにおいて、解答時にも答えを繰り返すというのは聞いたことがない。ということは、あくまでもわたしの読みでは、最後の「!」も併せて考えると、これはある心理(書かないでおく)を表していると思う。と、最低でもこのぐらいは全て踏まえた上で、もう一度最後の「間違えちゃった」を読み直してほしい。いつも間違えているというのに、今日に限ってかわいらしく「間違えちゃった」とおどけてみせること。この描写が作品全体に及ぼす効果の意味を無視してはいけない。なお、長々書いたが、前述の通りこれは解釈によっては下ネタにも読めるので、長文解説したにもかかわらずそんなに好きな作品ではない。

1月25日

もしも作品から「明日は我が身だ」の部分をそっくり抜くと、これは非常にわかりやすい。ところが、元に戻して原型をもう一度読んでみると、たちまち混沌とした時間=空間に連れていかれることとなる。「めつつき」は「明日」ではなく《今現在》の我が身に起きていることだ。では「明日は我が身だ」とは何のことを言っているのか。一見シンプル、しかし実は多義的な作品。

1月26日

いい。真っ当なわからなさ。

この記事の一番冒頭で言ったことの繰り返しになるが、1個上のツイートをした人が、このツイートをしているという、そこを見て欲しい。

1月27日

「アゴ穴子」がわからない。1行目と2行目のつながりもわからない。絶好調。

意味不明性はいつもと変わりないが、個人的にはチャーミングさに欠ける気がする。わたしが暴力的な題材を好まないからかもしれない。

11月28日

好みのレベルで言うと、文の構造が好きだ。もしも1行目と2行目が逆だったら全くつまらない。

個人的な評価でいえば、残念ながら凡作の域。話がきちんと整って、つじつまが合ってしまっている。「~たら」の重複も美しくない。ただ、そういう日があって全然いい。これがあるから意味不明が活きる。

1月29日

時事ネタを扱いながら、詩としても高度というのは、単純にすごいことだと思う。

1月30日

はっきり言ってしまうと、これは、言葉の真の意味で面白くない。ただし、それもまたコウメ太夫らしい。

「ちゃった」ではなく「ちやった」であるところに技術を感じる職人的な作品。

1月31日

オーラスでこんなことを書くのは大変申し訳ないが、デジモンもよくわからないので個人的には鑑賞の対象外だ。申し訳ないとしか言えない。

ベスト5発表

というわけで、ここまでたどり着いた猛者が何人いるのかは全く不明だが、いよいよわたしの個人的なベスト5を発表したいと思う。この文章を書いている日の気分で選ぶので、もし半年後に選び直したら全く顔ぶれが変わるということは大いにあり得る。以下はせいぜいそんなもんだと思って見てほしい。なお、それぞれについての感想は既に書いたので、作品のみをただぶっきらぼうに並べることとする。

5位

4位

3位

2位

1位

ラジオでも話しました

おわりに

ここまで読んでくれた奇特な方には、心からの感謝の意を表したいと思う。さらには、あなたのベストをコメントで教えていただけたらこれ幸い。

コメント

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