小林亜星曲マイベスト10

アニメ特撮ソング

はじめに

2021年5月30日に小林亜星が亡くなった、と伝え聞いた。大好きな作曲家の1人だった。そこで、唐突な小林亜星曲マイベスト10の選出という特に何の意味もない遊戯をもって、わたしなりの小林亜星追悼としたい。世間では彼の死の発覚と同時に、「北の宿から」を作曲し「寺内貫太郎一家」に出演した小林亜星、という紋切り型のイメージが蔓延したようだが、それとはほんの少しだけ異なる固有名詞をここに連ねることにはなるだろう。とはいっても結局は、有名な、誰でも知っている曲ばかりが並び、マニア感みたいなものが出る瞬間など微塵もない文章となってしまうはずだが、そういうものを期待している向きには、どうかお許しを願いたい。そりゃあわたしだって「アハン、アハン、ハチジハン~」とか「マンガラリンタラオモシロリ~ン」とか埼玉県栗橋町立栗橋小学校校歌とか子門真人のパンシロン内服液の歌とかを当然めいた何食わぬ顔でベスト10に紛れさせたいという思いが一瞬頭をよぎりはしたのだが、わずか10曲となると、無理だったのである。ということで時間がきてどうやら開幕のようなので、毎回貼る例のアレを几帳面に貼っておく。

毎回貼る例のアレ

順番は順位ではない。順不同。超有名なのしか知らないので、その中から選んだ。なお、ベスト10を選ぶというのは本当はどだい無理な話であって、こんなものは今日の気分でしかない。単なる遊戯であり、半年後に同じことをやったら全く別の10曲を選ぶということも大いにあり得る。そんなものだと思って読んでほしい。また、当然これは個人的な好みのベスト10であり、いちゃもんをつけられてもそれは御門違いというものであって、あなたはあなたのベストを選べばいいだけの話だ。

わたしの某別ブログより引用

ベスト10(順不同)

「花の子ルンルン」

全アニメソングの中から10曲選ぶ遊戯の際にも毎回必ず入れている曲なので、選ばないはずがなかった。今見るとルンルンの絵は好みではないが、曲は名曲。この曲だけではないが、小林亜星の曲は総じて簡潔にして完璧なイントロにまず絶大な魅力があるのだが、この曲はその真骨頂の1つと言えるのではないか。あとは、サビに入ってからのボーカルのハモりに何とも言えない不思議な魅力があるのと、同じくサビのストリングスの「キコン」という音型が3回目に入る部分が理屈抜きで好きなのと、あと、最後のフルートのトリルの使い方も好きなのと、あー、書き切れない。名曲。名曲としか言えない。

「女の子って」

イントロから不思議な拍子感の楽しさがあって最高。ご存じの通りこの曲には小林亜星自らが歌い手としても参加しているのだが、その声が、味があっていい。前半から入る合いの手の声も決して悪くはないのだが、サビに入ってついに自らメロディーを歌い出すちょっとバカっぽく(100%語弊がある。ゴメンナサイ。褒めている)出している声が凄くいい。最後に少しだけささやかにハモりになるのも好ましいし、そもそもメインボーカルがかなり音程が悪いのもなぜか好きだし、そしてそうだ、思い出したぞ、1番と2番の繋ぎ方が簡潔にして最高なので、それを確認するためだけにでも、やはり聴いてもらいたい。結局、全曲こう書くことになってしまうような気がするが、やはりこれも名曲としか言えない。

「ユカイツーカイ怪物くん」

裏で鳴っているチキチキチキチキという何かのパーカッションのような音の使い方になんとも言えない魅力がある。たぶんこのページ上では再生できないはずだが、どうぞ遠慮せずに「YouTubeで見る」というところを押して、こんなブログからは飛んでいってもらって、この曲を聴いてもらいたい。やはりこれも名曲としか言えない。なお、怪物くんで言うと、ベスト10には入れられなかったがED曲も小林亜星作曲で、これもいい曲だ。これをどっちにするかだけで30分以上迷った。

「ガッチャマンの歌」

ド頭のティンパニからシビれる。前半のチャカチャカした伴奏形が格好いい。サビに入って2回目の「地球は一つ」というボーカルの裏でギターの高い音が鳴っていたはずだが、それが格好いい。そして最後の「おお ガッチャマン ガッチャマン」という部分の2回目の「ガッチャマーン」の「マーン」という部分が単純に旋律的に最高に格好いい。あれを格好いいと思わない人は多分人の心を持っていないのだと本気で思う。あと、歌詞の話は今回の記事ではあまりしないつもりだったが、あえて言うと、途中で出てくる「科学忍法」という言葉がすごくいい。当然、ボーカルもいいし、結局、またしても名曲としか言えないのであった。

「ひみつのアッコちゃん」

小林亜星のアニメソングは結構ブラスが多く使われている印象が個人的にはあるのだが、そんな作品群の中で伴奏のウッドウィンドが印象に残る曲として真っ先にわたしの脳裏に浮かぶ曲の1つは間違いなくコレだ。フルートの伴奏形が誠に好みに合う。やはりこの曲もイントロが既に簡潔にして素晴らしく、そして結局最後まで何もかも素晴らしいので、これはもう名曲としか言えないのである。そうそう、ラストの「アッコちゃん」の音程に、なんとも言えない魅力がある。

「すきすきソング」

この曲を聴いているとき、地球上に多分この曲より素晴らしい曲は無いといつも思う。メロディーもボーカルも伴奏形もとにかく素晴らしい。この言葉をわたしはおそらく生まれて初めて使うのだが、この曲はもう名曲としか言えない。

「ぼく、フクちゃんだい!」

たしかに「フクちゃん」の曲というのは、ベスト10に選出したこのOP曲も、ベスト10には入れられなかったED曲の方も、2曲とも「おー!すげー!カッコイイ!」と思わず叫びたくなるようなわかりやすく目立つ、「ベストに選びたくなるようなポイント」のような箇所は、無いといえば無いのだが、それは、これらの曲に魅力が無いという意味では決してなく、簡潔にして完璧で非の打ち所の無いフォルムの曲だということの証拠なのだとわたしは思っている。そのことは誰もが聴けば分かるはずだし、わたしはそういう曲が大好きなのだ。このベスト10は、ただのわたし個人の好みのベスト10なのだから、こういう曲を絶対にはずしてはいけない。「名曲としか言えない」とは、おそらくこういう曲のことを言うのだろう。開始1秒で、もう何ともたのしげすぎるではないか。ベスト10には入れなかったが、こおろぎ’73の歌うED曲もサビに入ってからのコーラスに何ともいえない魅力があって当然大好き。

「行け! コン・バトラーV」

アコースティックギター系の曲(?)から1曲選ぶならば、これということになるだろう。普通に一般的にみても名曲としか言えない曲だと思う。ただし、極私的ベスト10という視点で見ると、水木一郎の押しの強いボーカルも、曲全編を通してどこか悲しげな曲調も、個人的な好みのレベルで言えば決してわたしの好みにバッチリハマるわけではないのだが、例の「身長~」の部分に来た瞬間のなんともいえない嬉しさと、それに続く「巨体が~」の部分のやっぱりそう行くよねというコードのチョイスとに、問答無用で心惹かれるのは紛れもない事実だ。細かいことを言うならば、サビ前の「~なあら」の部分の譜割りも好き(笑)。最後に、曲に関係無いが、下に貼り付けた動画のサムネイルのジャケットに書かれている「テレビ漫画」という言葉は控えめに言って最高(笑笑)。

「ボルテスVのうた」

単純にサビに向かって盛り上がっていく感じにシンプルに心を打たれる系(?)からは、これを選ぶことにした。実は「ダルタニアスの歌」がこの曲とベスト10の1枠を争ったのだが、結果的にこちらとなった。理由は、自分でも理屈では言えない。なぜだかわからないのだが、こちらの方がわたしは感動してしまうという事実を優先したまでの結果である。感動はそもそも理屈でするのではなく、こういう文章を書くときに無理やり後付けで理屈を書いているにすぎない。そんな理屈に本当は意味はない。ブログなので一応文章を書いているというだけだ。「ダルタニアスの歌」の方はコーラスもやたらとゴージャスで感動的っぽい雰囲気は多分にあるのだが、頂点で突き抜ける感がこの曲に負けている気が個人的にはする。がしかし、どちらの曲も当然のごとく、名曲としか言えない。

「日立の樹」

ある一定の年齢以上の人で、この曲を知らない人はほとんどいまい。その昔、日立がCMでこの歌を流すことによって何のメリットがあるのか、幼いわたしには全く意味がわからなかったが、しかし、この曲はわたしが死ぬまでわたしの心に残る、何という言葉で表していいかわからない強さのようなものを確かに持っていた。歌詞は、ずっと何を言っているのか全くわからない(実は、下に貼り付けたフルバージョンっぽいモノの、今までの人生で聴いたことがなかった部分は、わりと意味が分かるのだが、それはわたしの記憶には存在しないので、以下の文章では無視して話を進める)。「名前も知らない木ですから名前も知らない木になるでしょう」とは、一体全体どういうことなのか。最初から「名前も知らない木」と呼んでいるのであれば、「なる」ということばで言い表した瞬間、そこではもはや日本語が壊れている。だが、こんな恐ろしい歌詞を包み込む小林亜星の曲はどこまでも優しい。簡素でありながら、不足がない。結果として、名曲としか言えないたたずまいで、この曲はわれわれ聴き手の前に優しく提示される。どうだ、これが作曲家の力だ。誰もが、これを歌うことによって人生にもたらされるメリットなど何も思い当たらないはずだが、にもかかわらず、誰もが思わずこの歌を口ずさんでしまう。ちょうどこの曲をよく耳にしていたぐらいの幼いころから、音楽より美しいものなどこの世にはおそらく無いとわたしはずっと思っている。

おわりに

こういう記事を書くと毎回こういう終わり方を迎えるのだが、10曲はあまりに少なくてあれもこれも漏れてしまったという気持ちだけが心に残って、罪を犯したような気持ちになった。後悔はしていないが、なぜいつも10曲と決めてしまうのだろうか。というわけで、当然ここに挙げていない曲も名曲揃いであることを蛇足的につけ加えて、文章を閉じることとする。

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